SONY RX100は一眼レフの代わりになるのか

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シャッターチャンスは急に訪れる


SONY DSC-RX100M3

元々、一眼レフのCanon EOS60Dを使い倒していましたが、一眼レフには重大な欠点があります。
これは既に世間では散々言われている事ですが、気軽に持ち運べないということです。

今まで、写真撮影はじっくり被写体を選定し、念密な計画を立てて撮ってきましたが、思いも寄らないシャッターチャンスは不意に訪れるものです。
思いもよらない美しい景色は、いつ偶然にも遭遇するかわからない物なのです。

これはiPhone7plusで撮影したものです。
「こんな時にコンデジがあれば・・・」

仕事柄、このような美しい景色に偶然遭遇することが非常に多いのですが、当然勤務中は重い一眼レフを持ち歩けるわけではありません。
iPhoneでも充分に綺麗ではあるのですが、一眼レフの画質を知っていると、どうしても満足出来ないのです。

こんな時に、仕事中にこっそりポケットに忍ばせられるコンデジが欲しいと思って、目を付けたのがSONYのRX100シリーズでした。
「おい、こっそり写真撮ってないで、真面目に仕事しろ」というツッコミは勘弁してください。

RX100シリーズの中でも24mmからの画角が欲しかったので、値段と相談してRX100M3を買いました。
画質的にはどの世代もあまり変わらないそうです。

コンデジとしては非常に完成度の高いものですが、悪い点も良い点もそれぞれ沢山ありますので、順番に紹介していきましょう。
一眼レフをかなり意識した評価です。

1型センサーは階調表現が弱い・・・

さて、一眼レフと比べるのは酷ですが、悪い部分から先に書いていきましょう。

勿論、良い部分も後々書いていきますが、先にデメリットを知るのがこのカメラの圧倒的な凄さを知るには手っ取り早いと思ったからです。

悪い作例ばかりを先にお見せする形になりますが、辛抱してお付き合いください。

RX100M3は画質は優れていますが、明暗の差があるところでは階調表現に難があります。
輝度の高い部分が白飛びしてしまいます。

たまに白飛びしまくりで、こんなガッカリな貧相な写真も。

一眼レフに比べて小さい1型センサーの宿命ですね。
これはフルサイズ機とAPS-C機で階調表現が違うのと同じようなものです。

そもそもセンサーサイズによる違いとはなんでしょう。

それは、大きな画用紙に油彩で絵を書くのと、ハガキサイズにペンで絵を書くような違いです。
大きな面積に余裕を持って描ける油彩独特の豊かな表現はペンには難しいのです。
しかし、画家次第ではハガキに書いた絵でも目を見張るような高いクオリティを実現できるように、1型センサーでも使い方次第ではAPS-C機には負けません。

一眼レフの世界では、APS-C機でありながらフルサイズより良い写真が撮れることがあるはずです。
RX100の1型センサーでも同じで、撮影条件に気をつけていれば充分APS-C機並の画質を得ることが可能です。

更にRX100ではHDR機能を使い、設定次第では階調表現の弱点を補えます。

HDR OFF)

(HDR ON)

HDRはあまり強くかけすぎると不自然になってしまいますが、この位にしておくと白飛びせずバランスの取れた自然な感じになります。

接写に弱い

RX100の悪いところ、その2です。

マクロ、接写に非常に弱いです。
RX100M3は広角が24mmですが、この24mmでしか寄ることが出来ません。
少しでもズームすると最短撮影距離が途端に長くなってしまいます。


最ワイド側の24mmであればマクロ的接写が可能です。
24mmという準超広角では物を強調した、このような表現は可能なのですが・・・

マクロ的接写では商品撮影など、物撮りが多くなると思います。
24mmでは遠近感が付きすぎて、物の形が歪んでしまいます。商品撮影向きではありませんね。


最望遠側の70mmでの最短距離撮影です。

人によっては、これで充分じゃないか!と感じられるかもしれませんが、色々撮影していくと、これ以上寄れないというのは困るシーンが多いです。

カメラやスマホ、財布などの小物を撮る時に、あまりの寄れなさに嘆くことになるでしょう。

スナップ的な撮影でも、もう少し寄りたい!という時に、これ以上寄れない悲しさがあります。

本来マクロレンズではないと、こんなものかもしれません。
しかし、最近の一眼レフの標準ズームはマクロが非常に得意なので、そっちに慣れてしまっていると非常に不便です。

RX100だけをメインカメラとして使う場合、ヤフオク用の商品撮影なんかはトリミングで済ますしかなさそうです。
画素数が多いので、カメラ内でトリミングする超高解像度ズームなんて機能もありますが、1型センサーの画質を発揮することが出来ないように思います。

RAW編集が難しい

これは、写真はJPEGで充分という人には関係ないデメリットです。

一眼レフではRAW編集で画像をよりオリジナルに仕上げていけるという面白さがあります。
RX100でも勿論RAW撮影ができますが、これが非常に難しいです。

SONYのカメラの画質の良さはセンサーやレンズ単体の良さというよりは電子補正の影響を強く受けています。
RX100も例外なく、1型センサーのデメリットやレンズ特性をカメラ内処理でかなり補正しているようです。

しかし、RAWで編集する場合は補正されない素のデータが出てくるので、補正の恩恵を受けることが出来ません。
RX100内部生成JPEGは内部設計を完全に知り尽くしたメーカーのチューニングなので、自分でのRAW現像では中々敵いません。

勿論、頑張れば自分の現像でもかなり綺麗に仕上げることが出来ますが、一眼レフのRAWを扱うより、かなり面倒臭いのです。

また、手持ちでのマルチショットNR・HDR撮影などRX100が得意とする機能もJPEGでしか使うことが出来ません。

RAW編集の失敗例。

かなりみすぼらしい感じになっています。
技術不足もあるのでしょうが、撮影環境・被写体によっては、自分のRAW現像では全く手を付けられないこともあります。

加えて、RAWはWi-Fiとの相性が悪いです。
RX100M3にはWi-Fiが搭載されていて、iPhoneに写真を転送できます。
しかしRAWファイルだと劣化版が転送されてしまい、せっかくのWi-Fi機能が活かせません。
(RAW+JPEG保存の設定はファイル管理が大変なのでやっていません)

せめてカメラ内RAW現像があればよいのですが。
そんなわけで、現在ではJPEG撮影のみでRX100を運用中です。

ボケの表現力は好み次第

悪い部分はそろそろ終わりです。
ここから先はRX100の凄さが分かるでしょう。

RX100M3はレンズは最小F1.8と明るいですが、1型センサーなのでAPS-Cの一眼レフに比べるとボケ具合は弱いです。

とは言え、ボケの特性なども含め、これは好みの問題です。

一眼レフで標準ズームしか使ったことのない人にとってはRX100のボケは充分綺麗だと思います。

何気ないショットでも少しボケて立体感が出るのは嬉しいです。


距離の近いものであれば、かなりボケてくれます。
肖像権の関係上作例はだせませんが、人物の顔だけを撮るといったポートレート撮影でも、ボカして背景をすっきりさせることが出来ます。

しかし、たまに背景ボケがとても汚くなってしまうことがあります。

高品質な一眼レフの単焦点レンズに慣れてしまっていると、ちょっと物足りないと思うこともあります。

しかし、これはポケットにはいるコンデジだということを忘れてはいけません。
つい、一眼レフと同等に評価してしまうほどの実力がRX100にはあります。

異常な高感度耐性

大型センサーになればなるほど、高感度には強いと言います。
しかし、RX100を手にして1番初めに驚いた点は高感度でした。

SONYの1型センサーは恐るべし。
今まで使ってたASP-C機のEOS 60Dより圧倒的に高感度耐性があったのです。

手持ち撮影です。
しかも、これはマルチショットNRなど、夜景撮影用の機能を使っていない状態です。

RX100は階調表現を必要とする昼間の撮影より、高感度耐性を活かした夜の撮影のほうが向いている様です。

マルチショットNRを使うと、もう感動の極みです。

マルチショットNRは、自動で複数枚を撮影して合成するものです。
とても、手持ちで撮影したとは思えない夜景写真です。
複数枚撮影してから合成すると聞くと、残像が残らないか心配になりますが、余りにも速い動きのものでなければ問題ないようです。

三脚を立てていると、シャッターチャンスを逃すのは勿論ですが、街中では三脚が迷惑になってしまうことも多々あります。
RX100では、今まで三脚を立てなければいけなかった夜の街も、優れた高感度耐性のおかげで、どんどん手持ち撮影出来ます。

流石にこちらはミニ三脚を使用しての撮影ですが、工夫すれば星景も撮影できます。

但し、余りにも暗い場所ではピント合わせが難しくなってしまいます。
MFを気軽に扱えるような設計にはなっていないので、寒い夜空の下では設定が色々大変です。

異常な手ぶれ補正能力

三脚なしの撮影で、1番の敵は手ブレです。
どんなに頑張って止めようとしても、生物である以上、人間の手は完全に止めることは出来ません。

しかし、RX100の手ぶれ補正は異常に強力です。
夜景撮影では高感度耐性以外にも、この手ぶれ補正があってこそ綺麗に撮れています。

もちろん、夜だけではなく全てのシーンで手ぶれ補正の恩恵を受けることが出来ます。

普通に歩いている人が残像っぽくなるようなスローシャッターです。
しかし、背景の景色は拡大表示して見ても全くブレていないのです。

これがRX100の手ぶれ補正の威力です。


コンデジでは大半の撮影が出先でのスナップ撮影になると思いますが、三脚要らずのスローシャッターが使えるということは、一瞬の撮影チャンスで多彩な表現が出来ることになります。


終電間際の幻想的な山手線。

今までは、三脚を立てないと決して撮れなかった様なシーンですが、高度な手ぶれ補正のお陰で全くブレがないスローシャッター写真となっています。


電車ばかりでごめんなさい。

スローシャッターでも流し撮りなどは、手ぶれ補正は効いているものの、AFの素早さが一眼レフに及ばないため、ピントが追いつかない傾向があります。
RX100M3ではこの有様ですが、最上位機のRX100M5では動体へのAF追従が速いみたいですね。

またRX100M3からはEVF(電子ファインダー)が搭載されているので、このような撮影シーンでしっかりカメラを構えることが出来ます。

24−70mmという画角

RX100はシリーズによって画角が違いますが、価格と機能のバランスが一番取れていると思われるRX100M3の画角は24-70mmです。
この24-70mmというのは35mm換算の画角そのままなので、APS-C一眼レフでいうと15-45mm辺りのレンズに相当します。

フルサイズ一眼レフでは24-70mmが標準ズームとして設定されていることが多いのですが、APS-C機では18-55mm(28-112mm)が多いので、やや広角寄りのRX100は望遠が物足りなくなるかもしれません。

70mmまでの望遠側は普段使いでは充分なのですが、APS-C機の55mm(112mm)に慣れてしまっていると物足りなくなるかもしれません。

後、もう少し望遠側があれば・・・

近づきすぎると逃げてしまうような、鳥や猫を撮る時はこんな惜しい時もあります。

素晴らしいのは広角側24mmです。

APS-C一眼レフでは殆どの標準レンズが18mm(28mm)側からなので、24mmの画角を手に入れるためにもう一つレンズを買い足さなくてはなりません。
コンデジで画質が良くて24mmから使えるというのは実に素晴らしいことです。

超広角レンズというわけではないですが、充分に広角レンズとして活用できます。
準広角レンズ」という種類があるのかどうかわかりませんが、そんな感じです。

日本最高峰のスカイツリー
直下からでも難なく全体を収められます。

RX100総評

今まで一眼レフは絶対的な存在でしたが、いつのまにかコンデジはこんなに進化していました。
技術の進化って素晴らしいですね。

望遠専用撮り鉄とかでもなければ、RX100は一眼レフの代わりとして充分運用出来るでしょう。
基本的に動体撮影・マクロ撮影は苦手ですが、工夫して対処することもまあ可能ではないかと思います。
カメラの癖になれてくれば、どんな状況でも確実に撮影できる素晴らしいカメラですよ。

何よりもカメラを持っていなければ撮影できないのです。
一眼レフでは荷物の状況により、持ち出しをためらうことがありましたが、このサイズのコンデジになると持ち出すという概念がそもそもありません
スマホ財布と一緒に自然にポケットに入れるのが日課になります。

RX100M3は少し値が張るような気もしましたが、交換レンズを買い足すのと同じ位の値段だと考えればそんなに高い買い物でもなく、むしろコストパフォーマンスに大満足しています。

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